従来のPCをモバイルデバイスに置き換えることで、これまで自席に限定されていた業務を、自宅や外出先からも可能にするテレワーク。働き方改革の広がりとともに、自治体においても導入への関心が急速に高まっている。
ペーパーレス化の推進とあわせてモバイルデバイスの活用を進展させ、意思決定の迅速化やコミュニケーションの活性化を実現するとともに、テレワークを推し進めて行政サービスを向上させるのが狙いだ。
自治体情報システム強靱性向上モデルの影響で足踏みする、テレワークの導入
一方、マイナンバーを活用した自治体間の情報連携の試行運用が2017年7月からスタートした。総務省では自治体における情報システム強靱化に向けた指針を示し、特定個人情報の流出徹底防止のため、セキュリティ対策強化への取り組みを求めている。
これを受けて3分割された庁内ネットワークの内、「個人番号利用事務系」は「LGWAN接続系」「インターネット接続系」ネットワークとの通信を完全に遮断。強力なアクセス制御や端末からの情報持ち出しが不可能な、強靱性向上モデルの要件定義に対応するセキュリティ機能を標準搭載したPCの導入が急速に進行している。
庁内ネットワークでセキュリティ対応が進む一方、外部からのネッットワーク接続や無線LANの導入には、強靱性向上モデルでは、慎重な検討が求められており、自治体のモバイルデバイスを活用したテレワークへの取り組みが停滞する要因となっている。
高まりを見せる、行政現場のテレワークへの関心
高齢化の進展に伴い、今後、介護福祉分野などでは、職員が庁外で住民の個人情報を取り扱う業務機会の増加が予想される。
これまでのような現場での紙を使った手書き作業では、書類の置き忘れによる紛失や盗難などで、住民の介護情報や医療情報が漏えいする懸念も想定される。セキュアで快適なモバイルデバイスを導入することで、記入作業を円滑化するとともに、情報漏えいリスクを低減することが可能だ。また、記録情報の共有や、迅速な情報開示もできるようになる。
モバイルデバイスを活用したテレワークの導入により、自宅から業務システムやグループウェアにアクセスすることで、育児や介護で休職中の人材が職場復帰しやすい環境づくりが実現できる。柔軟な働き方をICTで支援し、女性の活躍を推進する働き方改革の達成も可能となるだろう。