雇用機会を拡大して社員を活性化させる

 テレワーク・ディの人口動態調査からどんなことが読み取れるのだろうか。インテージでは「この結果から、ビジネスパーソン世代の滞在者人口減少が確認できました」とし、「テレワークのメリットである通勤時間の減少、通勤ラッシュの緩和につながった可能性もある」と考察している。

 実はこの考察結果は、テレワーク・ディの狙いとも合致する。テレワーク・ディがなぜ東京オリンピックの開会式と同じ日に実施されたのか。それは2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックで、交通混雑緩和のために市交通局がテレワークなどの活用を呼びかけたことにヒントを得たからだ。開会式では交通渋滞が予想される。それを緩和する手段としてテレワークにスポットが当てられたのである。

 テレワークとは「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと」と言われているが、時間や場所にとらわれないのであれば、決まった時間に出社する必要はない。

 今回のテレワーク・ディでは、参加企業は始業から10時半までテレワークの一斉実施、またはトライアルをしている。テレワークの形態としては、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務など様々だが、いつものようにオフィスに出勤しなくても良いことは共通している。その分、通勤電車を利用する人が減少するので、通勤ラッシュも緩和されることになる。

 企業にとってもテレワークには大きなメリットがある。通勤ラッシュが緩和されることは、企業にとってもメリットは大きい。大事な戦力である社員が日々の通勤ラッシュで体力を消耗している。テレワークをすることで、それがなくなる。イノベーティブな発想もそうした余裕から生まれてくる。

 さらに育児や介護など時間的な制約からフルタイムで働けない人たちに、いつでもどこでも働ける環境を提供することで、戦力として活用することができる。人手不足で悩む企業にとっては朗報だろう。

インテージリサーチが6月に公開した「全国働き方意識調査」より。
参照:https://www.intage.co.jp/topics/news/20170831

 テレワークは災害時にも威力を発揮する。東日本大震災の際に、テレワークができたことで事業を継続させられた企業が、多くのメディアで取り上げられた。