働き方改革への関心が高まっている。働き方改革のセミナーには人が溢れ、働き方改革を支援するソリューションも数多く提供されている。しかし、働き方改革の目的は様々だ。育児や介護などフルタイムで勤務できない人を雇用するのが目的だったり、営業の機動力を強化する目的だったり、保守サポートの効率化だったりする。ここでは営業力の強化にスポットを当てて、働き方改革の課題と解決策を考えていきたい。

働き方改革は勤務時間短縮ではない

 働き方改革と営業力強化は直結するのか。働く時間が短くなれば、営業が顧客のために割く時間が減って、業績が低下するのではないかと不安になる経営者もいるだろう。そう考える経営者は働き方改革の本質が見えていない。

 当たり前のことだが、働き方改革とは単なる時短ではない。文字通り働き方を変えることだ。その目的は、多様化するワークスタイルに対応して人材不足を補ったり、よりイノベーティブな活動を促したり、戦線離脱などによる戦力ダウンを防止することなどだ。社員にとってもより生産性を上げることで、時間的な余裕が持てるようになり、ライフスタイルを充実させることができる。

 中でも営業力強化という面で働き方改革は大きな成果が期待できる。営業力の中身を考えてみれば当然だろう。営業力は頭数だけではない。人間の力に頼る部分が大きい。営業力を人数×企画力×活力という掛け算に置き換えてもいいだろう。前述したように、働き方改革を進めると、社員の企画力と活力が強化される。だから営業力が強化される。

 問題はどんな働き方改革を進めているのかということだ。営業現場では、以下のような課題がありがちだ。

・在庫確認をしたり、発注したりするシステムがオフィスからしかアクセスできないため、電話で確認するか、わざわざ会社に戻ってこなければならない。

・チームで動いているためオフィスでの打ち合わせが多く、純粋な営業活動に割く時間が少ない。

・情報漏えいの恐れがあるため、外出先での情報端末の使用が禁止されている。

・勤務実態把握が出来ないため、直行直帰は励行されない。

 こうした営業現場の課題を放置したままで働き方改革を進めても、効果は上がらない。これらの課題を解決する最も効果的な手段が、ICTの活用とテレワークの導入である。どちらも働き方改革に結びつくものだ。